ジブラルタル・オープンとランキング・イベントの格付け : ジブラルタル・オープン 2018 レビュー

昨日のワールド・プール・マスターズ 2018が行われた土地、ジブラルタルで今年もスヌーカーのオープン戦が開催されました。

全試合ベスト・オブ・7のショート・フォーマットで進行するジブラルタル・オープン、ちなみにこのフォーマットで行われる大会はポール・ハンター・クラシックがあります。付与されるランキング・ポイントの低さも加わり、エリート・ランカーの参加人数は4人でした。ディフェンディングチャンピオンのショーン・マーフィは不参加でした。

決勝戦はライアン・デイとカオ・ヨーペンの今シーズン話題に上った選手同士の対決になりました。ライアン・デイは6月のリガ・マスターズでランキング・イベント初優勝を経験し、カオは昨年末のスコティッシュ・オープンで初の決勝戦進出を果たし、優勝まであと一歩でしたがニール・ロバートソンの追い上げの前に屈してしましました。

お互い今シーズン決勝戦へ進出はそれ以降の2回目となりました。さらにカオにとっては再来週のプレイヤーズ・チャンピオンシップへの参戦権をかけた大事な大一番となりました。

決勝戦はあっという間に終わってしましました。ライアン・デイが58、78、100点と続けてブレイクを出し、第4フレームも勝ち取りフレームカウント4-0と1時間かからずに試合を終わらせました。

シーズン2勝目を上げた好調ライアン・デイの次のプレイヤーズ・チャンピオンシップでの相手はマーク・セルビーです。この調子で、世界ランキング1位の強敵を撃破することができるのでしょうか。ノンランキング・イベントのルーマニア・マスターズ後となる再来週、この対決が行われます。

 

 

 

 

 

・・・あまりにも見どころがない大会だったので可能な限り短くまとめてみましたが、さすがに物足りないぞと不満を抱かれそうなので今回は少しランキング・イベントについてお話ししてみます。

まずメインツアー(いわゆるプロツアー)ですが、これはWPBSAが認可した大会に参加する権利が与えられるよ、ということです。大会は大きく分けて2つ、ランキング・イベントとノンランキング・イベントの2つに分かれます。ランキング・イベントは勝利すると賞金とランキング・ポイントが与えられますが、ノンランキング・イベントでは賞金だけ貰えます。最近の流れだと、まずノンランキング・イベント(招待試合)を作って大会運営やスポンサー、顧客を獲得できる見込みがあるかを判断して、それがクリアできれば翌年からランキング・イベントに移行するという流れが主流です。今シーズンは香港・マスターズやルーマニア・マスターズというノンランキング・イベントが開催されましたが、結果によっては近々ランキング・イベントへ昇格すかもしれませんね。
ただし毎年1月に開催されるマスターズだけは別格で、ノンランキング・イベントだからこそ特別な価値がある大会だといえます。これはランキング・イベントになることは未来永劫無いと思われます。

 

そして、ランキング・イベントですがこれは大きく分けて2つ、オープン戦と非オープン戦があります。オープン戦はアマチュアも参加できます。非オープン戦は原則、プロ選手だけ(欠場者の穴埋めでアマチュア選手が参加する場合がある)で行われると考えてください。非オープン戦の大会はワールド・グランプリやプレイヤーズ・チャンピオンシップなどです。厳密には上の2つの大会以外では、平均するとアマチュア選手はだいたい3~4人ほど参加しますから、開催される大会の90パーセントはオープン戦の大会ともいえますね。
世界選手権の場合は特に規模が大きい大会だけに毎年20人前後のアマチュア選手が参加します。

 

さて今回行われたジブラルタル・オープンですが、参加者数を見てみるとプロ96人、アマチュア95人となっています。同じフォーマットで行われた昨年のポール・ハンター・クラシックではプロ88人、アマチュア188人となっております。ここから言えることは、この二つはアマチュア選手に主眼を置いた大会であり、それを察してか、ほとんどの特別な事情がないトッププレイヤーたちは参加しない傾向にあります。まぁ、ただ休みたいだけともいえますが。
このためショート・フォーマットにしないとスケジュールが消化できないのでしょうね。

 

ここで、数あるランキング・イベントの大会で格付けをしてみましょう。評価基準になるのはなんといっても与えられるランキング・ポイントです。次に勝敗を決するフレーム数(ベスト・オブ・○)で大会の規模がわかります。
まず最も価値のある大会は当然スヌーカー世界選手権です。今年の世界選手権の優勝者獲得ポイントはUKチャンピオンシップの約2.5倍、また昨日行われたウェルシュ・オープンの6倍になります。フレーム数もラウンド1からベスト・オブ・19(普通の大会の決勝戦と同じ)、その後25、33、決勝戦はベスト・オブ・35という超ロング・ゲームになります。この大会を優勝すれば、その後はメディアやエキシビションに招待されるので、一生お金には困ることがないでしょう。それくらい名誉ある大会です。

次点ではUKチャンピオンと答える人が多いと思いますが、今年発表されたのがチャイナ・オープンの優勝ランキング・ポイントがUKチャンピオンを抜いたというニュースでした。さらに準決勝戦はベスト・オブ・19、決勝戦では史上初のベスト・オブ・21で行われるというのです。歴史こそUKチャンピオンの方がありますが、それ以外ではすべてにおいてチャイナ・オープンが抜き去ってしまいました。このままの規模でチャイナ・オープンが継続されればUKチャンピオンの権威は落ち続けて行くかもしれません。なぜならすぐ下にはインターナショナル・チャンピオンシップ、チャイナ・チャンピオンシップが迫っているからです。

ここで今シーズンのランキング・イベント 20大会の格付けをまとめてみると

  1. スヌーカー世界選手権
  2. UKチャンピオン(繰り下げられる可能性大)≦チャイナ・オープン
  3. インターナショナル・チャンピオンシップ、上海マスターズ、ワールド・オープン、チャイナ・チャンピオンシップ
    プレイヤーズ・チャンピオンシップ
    ワールド・グランプリ
  4. ジャーマン・マスターズ、ヨーロピアン・マスターズ
    ウェルシュ・オープン、イングリッシュ・オープン、スコティッシュ・オープン、北アイルランド・オープン
  5. リガ・マスターズ、インディアン・オープン
    シュート・アウト、ジブラルタル・オープン、ポール・ハンター・クラシック

といったところでしょう。同じ格付けでも先に挙げられた方が大会の価値としては高いです。例えば4.のグループではジャーマン・マスターズの方がヨーロピアン・マスターズよりも価値が高く、ヨーロピアン・マスターズの方がイングリッシュ・オープンよりも価値は高いといえます。
こうして見ると中国の大会はすべて上位に位置していますね。

しかし、あくまでもこれは大会の規模の格付けであって、大会の価値そのものではありません。規模小さくても素晴らしい大会もあれば、その逆もまたあり得ます。例えば、この格付けではジャーマン・マスターズの価値は高い方ではないですが、プレイヤー達の感想では、会場の規模が大きく、それにもかかわらず観客の質も高くプレイが中断されることもないので集中してゲームができたと高く評価されていました。
逆にある中国の大会では、チケットが高くて売れず、平日はほとんど無観客状態で選手としてはモチベーションが下がります。しかも観客が増えたら増えたでマナーが悪く、ゲームに集中できないと批判している選手もいます。また滞在先のホテルの環境も体調に影響するので、プレイヤーとしてはしっかりしてほしいというのが正直なところでしょう。
このように規模が大きい大会と、選手達の満足度が必ずしも比例するわけではないというところは留意した方が良さそうです。

ということで今シーズンのランキング・イベントは残り3つ、プレイヤーズ・チャンピオンシップ、チャイナ・オープン、そしてスヌーカー世界選手権です。いずれもランキング・イベントが大きい大会なので、選手達も気合いが相当入っていることでしょう。特にチャイナ・オープン後にエリート・ランカー(16位以上)の選手は世界選手権の予選が免除されるので、熱い戦いが期待されます。

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