みんな大好き147 マキシマムブレイクのお話し:スヌーカー観戦マニュアル 番外編

日本でスヌーカーが語られることといえば、たいてい誰々が147を出したという話ではないでしょうか?そんな話を小耳に挟んだら、普段はメインツアーの試合を頻繁にチェックしない人でも、ちょっと観てみようかなとYouTubeを検索する人が多いはずです。今回はそんなみんな大好きな147についての衝撃の真実をお話したいと思います。

まずは147についてですが、この事だけはネット上でも日本語のスヌーカー関連記事でよく書かれているので、軽く触れるだけにとどめておきます。特に球バカ日誌さんやビリヤード・デイズさんなどに詳しく載っています。

147とはレッドとブラックのセットを15回取った後にカラーボールクリアランスをするとブレイクが147点になることから、マキシマムブレイクと言われています。これは非常に難易度が高く、達成したプレイヤーは周りから確実に一目置かれます。

さて147を人類史で最初に達成したプレイヤーはのはジョー・デイビスです。これは1955年のエキシビション・マッチでの出来事なので、現在のワールド・スヌーカーの公式記録には記載されていません。

では公式147はいつ、誰がというと、1982年にスティーブ・デイビスが達成しました。

この後、147は数年に1度見られるかどうか、から1年に1回、1年に複数回、2016年に至っては1年間で10回も記録されるという増加の一途をたどっています。

年代別で観てみると
1980年代は8回
1990年代は26回
2000年代は34回
2010年代は63回
となっています。

使用されているテーブルの変更があったにせよ、ここ最近の乱発ぶりはメインツアーでの147の価値を落としているのは事実でしょう。2010年まではクルーシブル・シアターで147を達成すると147000ポンド(2010年のレートで2100万円)がボーナスで支給されていましたが現在では廃止されています。それだけ選手達の技術が一昔とは比べものにならないほど上がっていることが窺えます。

とはいえ147がもてはやされていることには変わりなく、スヌーカーと言えばロニー・オサリバン、ロニー・オサリバンと言えば最速、そして最多147記録保持者としてスヌーカーをとらえている人が多いでしょう。

 

さて前置きはこのあたりにして本題へ入ります。
初めにメインツアープレイヤーの中で、公式戦で記録したハイエストブレイクは何点でしょうか?
そんなのマキシマムブレイクを記録している人たちロニー・オサリバンとかスティーブン・ヘンドリーで、もちろん147点でしょ!!
と思われるのはもっともですが、実はこの上がいます。

スコットランド出身 ジェイミー・バーネット
スコットランド出身 ジェイミー・バーネット

昨シーズンまでメインツアープレイヤーだったジェイミー・バーネットは2004年のUKチャンピオンシップの予選でワールド・スヌーカー史上初の偉業を達成したのです。
Last 80の試合で、初めに相手がファールをしました。その後フリーボール(バーネットが狙わなければならないレッドがスヌーカー状態だったため、カラーボールをレッド見なしてプレイ)を選択します。ここでブラウンをレッドと見なしてポット、次に再びブラウンをポットしその後、ブラックを12回、ピンクを2回、ブルーを1回ポットした後カラーボールをクリアラスをしたのでブレイクは(16点+4点+5点+12点+84点+27点)で148点を記録したのでした。これは現在でもワールド・スヌーカーのハイエストブレイク記録として残っています。現在でもこの得点以上を記録したプレイヤーはいません。もちろんロニー・オサリバンもです。

さてこのことから、フリーボールを得られれば147点以上のブレイクを出すことは可能という事はわかりました。手順としては、まだ1球も的球を入れていない状態で相手がファールをしてフリーボールを宣告され、そのカラーボールを入れてからはブラック→レッドブラック→・・・と147と同じ要領で入れていけばいいわけです。よってこの方法で得られる最高得点は155点となります。
でもそんなの仮の話で155点なんて出した人はいないんでしょ。と思われるかもしれませんが実はいるんです!

イングランド出身のジェイミー・コープ
イングランド出身のジェイミー・コープ

奇しくもバーネットと同じく、昨シーズンまでメインツアープレイヤーだったジェイミー・コープは2005年、これまたスヌーカー史上初、唯一の伝説を作りました。
なんと本当に155のブレイクをやってしまったのです。しかし、これは練習での出来事で公式戦ではなかったため非公式記録です。とはいえ、練習でも彼以外に155点を出したという報告はこれまでのところ確認されていないため、これを達成したのは人類史上ただ1人だと思われます。

ジミー・ホワイトが155の出し方を解説しているので、我こそはと思う方は是非チャレンジしてみてください。

 

さてここまでの話はスヌーカーに詳しい人なら知っている知識かと思います。
かくいう僕も長らくはそう思っていました。しかし、最近になり衝撃の事実を知りました。それは本当の理論上可能なマキシマムブレイクは155点ではないという事実です。

ここで一度ブレイクの定義を確認しましょう。
JSAのルールブック第9章の第8条によると

ブレイクとはフレームの中でプレイヤーが自分の順番に連続してポットを成功させる事である。

と定義されています。WPBSAのルールブックのSection 2.8でも同様に定義されています。
ではこの定義にのっとって考えてみると・・・お気づきでしょうか?
そうですRe-spotted blackにまで持ち込めばさらに7点が加算されるのです!!

手順としてはこうです(一例)

  1. 自分が159点分(4点ファールで考えると38回と7点ファールが1回)連続でファールをする(スコアは0-159)
  2. その後、相手が1回ファールをする。(スコアは4-159)
  3. このファールでフリーボールがコールされる
  4. 自分がフリーボールを選択してポットする。その後のカラーボールはすべてブラックを使いクリアランスをする(スコアは159-159)
  5. この時のスコアは同点になるので、Re-spotted blackに突入する
  6. Re-spotted blackでは必ず自分が先行を取らなくてはならない、なぜなら相手に一度でもプレイさせるとブレイクが継続されていないと見なされるから
  7. 先行になったらセーフティに行かずブラックをポットする(スコアは166-159

このような条件を満たすと幻のマキシマムブレイク162点を獲得することができます。
ただし、あくまで理論上です。実際に序盤で159点ファールをすることはあり得ないので、誰も記録できないはずです。

 

マキシマムブレイク147にまつわる小話はいかがでしたか?
巷に溢れている147のお話とは違った角度から考察してみました。
このようにマキシマムブレイクと言われている147ですが、実はさらに高いブレイクがありました。しかし、これを聞いて「なんだ147って最高得点のブレイクじゃないんだったら、実はそんなに価値がないのかな?」と考えるのは間違いです。
今回の147点より大きいブレイクは裏技であり、やはり15個のブラックでクリアランスをする147はマキシマムブレイクである事には変わりありません。

まだ日本人で147を達成したプレイヤーは存在しないと言われています。
いつの日か、マキシマムブレイクを達成するプレイヤーが現れてほしいですね!

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